家庭の太陽光、EVでイオンへ  -関電と協力、固定価格後の受け皿に-

2018年11月15日(木)10:38 AM

イオンと関西電力は2019年度にも家庭の太陽光発電で作った電力を店舗で使う仕組み作りに乗り出す。消費者は電気自動車(EV)に電力をためてイオンの店舗に運び、買い物ポイントと交換する。太陽光の電力を高く買い取る仕組みは19年から10年間の期限が切れ始める。再生可能エネルギーを地域で無駄なく活用して事業に生かす動きが広がってきた。

千葉市内のイオンで実証実験する=一部画像処理しています

千葉市内のイオンで実証実験する=一部画像処理しています

太陽光発電普及のために国が導入した固定価格買い取り制度(FIT)は19年11月から徐々に終了し、電力大手は買い取り義務がなくなる。19年中に約50万戸、23年までに約160万戸の家庭の余剰電力が売り先を失う恐れがあり「2019年問題」といわれる。約700万キロワットと大型の原子力発電所7基分の電力が宙に浮く計算だ。

イオンと関電の実験はまずショッピングセンター、イオンモール幕張新都心(千葉市)を候補とする。同店にはEV充電器が39台あるが、蓄電池やEVから電気を受け取る設備を新たに導入する方向だ。調達した電力は店舗の照明や空調に使う。太陽光発電由来の電力だと証明するために国内で初めてブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用する。

関電は司令塔となり、協力してくれる来店客にスマートフォン(スマホ)のアプリを通じて放電を要請する。

地域で電力が余ったときは消費者のEVに蓄電してもらうことで需給を調整できる。関電は需給調整への協力の見返りとしてイオンに報酬を支払う予定だ。

 

一連の仕組みは「仮想発電所(VPP)」と呼ばれる。EVの蓄電池など分散している設備を包括的に制御して無駄なく使う。地域での電力需給の調整がしやすくなる。実験結果を踏まえて全国への拡大を検討する。

消費者には電力量に応じてイオンの「ワオンポイント」を付与する。電力会社などを通じない電力の売買は法で認められていないためポイント付与は電力の対価ではなく協力への謝礼として支払う。

一般的なEV一台にためられる電力は数百円分だ。ポイントへの交換レートは検討中。電力大手の電力を使うより安く調達できる可能性があるが、あまりに低いレートだと消費者にとっての魅力が少ない。イオンはバランスをどう取るかが課題となる。

イオンは事業活動に必要な電力をすべて再生可能エネルギーで調達することを目指す「RE100」に参加している。ブランド向上を図るほか、集客や非常用の電源確保にもつなげる。

消費者にとっては、FITが終わった後に余剰電力を使う選択肢が広がるメリットがある。関電は電力需給の調整能力が向上し、石油火力などコストが高い発電手段への依存度を引き下げやすくなる。

2019年問題をにらんだ動きは関電とイオン以外にも出始めている。東京電力ホールディングスは11月から新プランを始めた。太陽光発電パネルを設置している一般家庭を対象に、伊藤忠商事の人工知能(AI)を使った電力利用の最適化サービスと蓄電池を組み合わせ、電気代を抑える仕組みだ。

 

                                 (2018/11/4付 日本経済新聞より)

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